猛暑と夾竹桃
今年の夏も、息苦しいほどの暑さが続いた。朝早く窓を開けても、涼しい風ではなく、熱を含んだ空気が部屋へ流れ込んでくる。「また今日も猛暑日か」とつぶやくことが、夏のあいさつのようになってしまった。
そんな暑さの中でも、夾竹桃だけは少しもひるまない。照り返しの強い歩道や乾いた道路脇で、濃い緑の葉を広げ、赤や桃色、白い花を堂々と咲かせている。その姿を見るたび、不思議と遠い夏の記憶がよみがえる。
大人になって知ったのは、夾竹桃には毒があるという事。そして、広島では、焼け野原となった地にいち早く花を咲かせた「復興の花」として大切にされている事だ。美しさと危うさ、そしてたくましさを一つの木が併せ持っている。そのことを知ってから、夾竹桃を見る度に平和の尊さが身に染みる。